トキメキばかり追い求めている
恋が始まるときは、切ないような、甘いような、とてもいい気分になります。
これはPEAというホルモンの働きによるものだと考えられています。
脳内で作られて、快楽を感じさせる物質のことを「脳内麻薬」といいますが、恋愛のホルモンもその1種なのです。
実はこのPEA、長くても三年しか出ないといわれています。
つまり、恋はいずれ冷めるということです。
トキメキだけを追い求めても、必ず冷めるのです。
では、なぜ何年もつき合っている恋人同士や長年連れ添っている夫婦がいるのでしょうか?
それは、ふたりでいると一体感、安心感が得られるからです。
恋の始まりの激しい感情をロックだとすれば、この安心感はクラシック音楽といってもよいでしょう。
本当の愛で結ばれた関係は、温かくとても穏やかなものなのです。
この穏やかな温かい感じをしっかり味わうことが、カップルが長続きする秘訣です。
ただし、ふたりでいる一体感、安心感はとても穏やかで繊細なものですから、しっかり味わうには、愛に対する感受性を研ぎ澄ます必要があります。
しかし、このタイプの人はこの感受性が鈍くなっているのです。
なぜかというと、日々わいてくる素直な感情を仮面の下に抑え込み、自ら感受性を鈍らせているからです。
他人に嫌われたり、バカにされる「怖れ」から逃げようとして、自分の不満や本当の望みを我慢するクセがついています。
愛のクラシック音楽を流そう
このタイプの人は、嫌な感情の処理方法として「我慢する」ことを選びがちです。
仮面をかぶり、その下に抑え込んでしまうのです。
これはたとえていえば、スピーカーから雑音が聞こえるので「ボリュームを下げる」ということに相当します。
嫌な感情を我慢して感じないようにすれば、その場はしのげるでしょう。
しかし、それが続くと、大きな弊害が出てくるのです。
それは、先はどのたとえでいうと、クラシック音楽が聞こえなくなってしまうということです。
つまり、楽しい、うれしい、安心といった穏やかで心地よい感情をキャッチする感受性が鈍くなってしまうのです。
かろうじて、大音量のロック音楽なら聞こえるかもしれません。
つまり、恋愛のトキメキのような強い刺激なら、心のボリュームが下がっていても感じられるということです。
そして、前項でもお伝えしたように、嫌な感情は我慢するとたまっていきます。
すると、ますます心のボリュームを下げる必要が出てくるのです。
これがエスカレートしていくと、しまいには、恋愛初期のトキメキのような極めて刺激の強い感情しか感じられなくなります。
ちなみに、このような状態は「感情の鈍麻」といい、アルコール、過食、買い物などに依存しやすい状態でもあります。
これらも同じように、強い刺激ですから。
これが、恋愛初期のトキメキだけを求め、それに依存してしまう原因です。
ここまでわかれば、解決策も明確ですね。
そう、クラシック音楽も聞こえる程度までボリュームを上げるために、雑音、つまり嫌な感情を減らすことです。
嫌な感情は、無限に出てくるものではなく、ため込んだ分だけ出てくるものです。
具体的な方法は後述しますが、怖れずに自分の心に意識を向けて、たまっている感情を整理することが大切です。
恋愛のトキメキは、そのとき限りのもの。
大切に味わいましょう。
そして、ずっと続く愛は穏やかで温かいもの。
心の雑音を消し、感受性を研ぎ淵ましてしつかり味わいましょう。
ポイント
- ずっと続く穏やかな愛を感じる感性を研ぎ澄ますために、仮面の下に抑え込んだネガティブな感情をしっかりと整理しましょう。